障害者総合支援法の概要
障害者自立支援法を改正・改称し、基本理念やサービス対象者の拡大などを盛り込んだ新たな法律が障害者総合支援法です。
- 基本理念
日常生活・社会生活の支援が、障害児・者への共生社会を実現するため、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の除去に資するよう総合的かつ計画的に行われることを法律の基本理念として新たに掲げられました。
障害者及び障害児が日常生活又は社会生活を営むための支援は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと並びに障害者及び障害児にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他の一切のものの除去に資することを旨として、総合的かつ計画的に行われなければならない。
障害者総合支援法1条の2
- 障害者の範囲
障害者の範囲に一定の難病等が追加されました。
2013年4月施行時 「難病患者等居宅生活支援事業の対象疾病と同じ130疾病
2015年1月施行時 「難病の患者に対する医療等に関する法律および児童福祉法の一部改正」により、障害者総合支援法の対象疾病を第一次として151疾病に拡大
2015年3月 障害者総合支援法対象疾病検討会において、第2次拡大分として332疾病を対象とする
2017年4月 同検討会において、第3次拡大分として358疾病を対象とする
2021年11月現在、361疾病まで拡大
- 障害支援区分
旧法下で「障害程度区分」だったものが「障害支援区分」と改められました。これは、必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示すものとされました。
障害支援区分認定が、知的障害者及び精神障害者の特性に応じて行われるように、区分の制定にあたっては適切な配慮を行うものと強調されています。
- 重度訪問介護の対象拡大
2014年4月から重度の肢体不自由者に重度の知的及び精神障害者も対象となりました。
共同生活介護(ケアホーム)の共同生活援助(グループホーム)への一元化
2014年4月から障害者の高齢化と重度化に対応するとともに、住み慣れた地域を住まいの場とする観点から一元化されました。
- 地域移行支援の拡大
これまでは施設入所の障害者及び精神科病院に入院している精神障害者が対象でしたが、2014年4月から地域における生活に移行するため重点的な支援を必要とする者とされました。
- 地域生活支援事業への新たな事業の追加
2013年4月から以下の事業追加されました。
市町村事業 ①障害者の理解を深める研修・啓発②障害者やその家族、地域住民等の自発的な活動の支援③市民後見人等の人材育成や活用を図る研修④意思疎通支援を行うものの派遣
都道府県事業 ①意思疎通支援を行うもののうち、特に専門性の高い者を養成、派遣する事業②意思疎通支援を行う者に係る市区町村相互間の連絡調整等広域的な対応が必要な事業
- サービス基盤の計画的整備
2013年から「障害福祉計画」の見直しがなされ、2018年には「児童福祉計画」(障害児に関すること)の策定が義務付けられました。